小説紹介のゆう

小説紹介してます!

変な家2:大人気ミステリーの続編をネタバレなしで解説

今回は先日紹介した変な家の続編「変な家2」を紹介したいと思います。

 

本の概要

著者:雨穴

発行:2023年

書店のランキングで一位を飾ったあの大人気ミステリーの続編

主要登場人物

筆者:フリーライターで間取りの謎を解き明かす主人公

栗原:筆者の知人で、ミステリー好きの設計士 的確な推理で謎を解き明かす

あらすじ

前作の好評を受けて、再び間取りの調査をすることになった筆者は、たくさんの資料の中から特に気になる11個の資料を調査します。その資料はどれも起こった年がかけ離れていて、関係ないように思われますが、謎の茶色い人形や、家の間取りの共通点などそれらは明らかにつながりを持っていました。次第に全貌が明らかになっていく中で見えてくる宗教の存在や裏に隠れた大きな組織の正体など・・・ 果たして筆者はすべべ手の謎を解き明かせるのか⁉

感想

本書の構成としてはまず11話のすべての概要だけ説明して、真相は謎のままにしておきながら、最後にすべての謎を回収して集めて一つの大きな真相を解き明かすような構成となっているため、読んでいても手を止める瞬間が見つけられないほど面白く、推理を楽しみながら読むことができました。とても考察しがいのある話になっているので、ぜひじっくり考えながら読んでみてください。また、前作と比べてボリュームは多くなっていて、書き方は会話メインのままなため、読みやすさそのままに内容の濃さや面白さが増えていたのがとてもよかったです。雨穴さんの作品はどこまでも新鮮味があってほかのミステリーにはないような発想があり、それでいて本格的なトリックを用意されていて、いつも感心してしまいます。

まとめ

いかがでしたか。本作は一風変わった爽快ミステリーとなっているため、どんな人でも読みやすいと思うし、楽しく読めると思うので、ぜひ読んでみてください。

 

 

運転者未来を変える過去からの使者:喜多川泰が贈る感動物語

今回は喜多川泰著書の「運転手未来を変える過去からの使者」を紹介します。

 

本の概要

著書:喜多川泰

発行:2019年

累計100万部を超える喜多川泰渾身のベストセラー作品

あらすじ

生命保険の営業職に就いていて、さえない人生を送っていた主人公岡田修一は、ある日突然20件の契約の解約を告げられます。突然の出来事に絶望した修一は自分は努力をしているのにそれが報われないことに怒り、自分の不運さを嘆いていました。そんな修一のもとへ運転者を名乗る男が現れ、なんとメーターに書いてある距離をタダで移動できることとなったのです。彼は「人の運を変えるのが自分の仕事です」と言い、修一を人生の転機となる場所に連れていきます。初めは転機が訪れず、彼に不信感を抱いていた修一ですが、彼の的確なアドバイスをもとに、徐々に彼の意識は前向きに変化していき、次第に修一の人生は大きく変化していきます。また、このタクシーに隠されたある秘密とは・・・

そもそも運とは?

世間的には運は良い悪いであらわされることが多く、それに人の努力や人柄が介在する余地はないと考えられていると思います。しかし、この本ではそんな”運”に関する常識をひっくり返すことがたくさん書かれています。まず運転者が言うには運とは、「良い悪い」ではなく、「貯めて使う」ものだと言っており、具体的には努力の分だけためることができ、貯めた分が大きいほど運を大きく使えて、結果的に幸運が訪れるのだといいます。この幸運は短期間で訪れるとは限らず、自分に訪れるとも限らないため、かなり実感しにくいですが、報われない努力はないということは確かです。

運を"貯める”には?

努力したら運は貯まると言っていましたが、実際修一は人並みかそれ以上に努力しているのに彼に幸運が訪れることはほとんどなく、不幸が降り注いでばかりでした。なぜ自分にだけ幸運が訪れないのかそんなことを思う修一に運転者はアドバイスします。修一がいつも不機嫌な態度をとってばかりで、何事にも無関心であることを指摘し、運を貯めるには、いつも上機嫌でいること、何事にも関心を持つことが大切だと説きます。営業職に転職して以来気分の上がらない修一にとっては耳の痛いことでしたが、このアドバイスを実行した修一の人生は大きく変わることとなるのです。

プラス思考

修一はプラス思考が苦手でした。これから起こることに対して、どうしてもネガティブになり、最悪の事態を想定してしまうのだといいます。そんな修一に対して、運転者はまたもアドバイスをします。プラス思考とは未来に起こる出来事を都合よく解釈するものではなく、過去に起こったこと必要な経験だったとポジティブにとらえることだというのです。そしてなにより、使う運より貯める運を多くすることがプラス思考な生き方で、人間の役割だといいます。修一は彼の説明を聞き、あれだけ避けていたプラス思考をすんなり受け入れたのです。

運転者に隠された秘密

運転者と関わっていく中ですっかり彼を信用していった修一ですが、まだ謎が残されていました。なぜメーターがたまった状態で修一の前へタクシーが現れたのか?それは過去の話が深く影響していました。その謎を知ったときに修一はついに最大の転機となる新たな一歩を踏み出すのです。この感動はぜひ実際に読んで確認してください。

まとめ

いかがでしたか。本作ではさえない主人公の修一が運転者によって大きく陣背を変えることになりますがその過程には我々にもとても参考になる話があり、心温まる物語なので、ぜひ気分が沈んでいる人やつらい思いをしている人に読んでみてほしいです。

 

 

 

コンビニ人間:村田紗耶香著書のベストセラーを紐解く

今回は村田紗耶香著書のベストセラー「コンビニ人間」を紹介します。

この本は僕も意識を変えるきっかけとなった本なのでぜひ読んでいただきたいです。

 

 

本の概要

著書:村田紗耶香

発行:2016年

累計100万部突破の芥川賞作品

あらすじ

幼いころから他人とずれた感性を持ち、輪になじむことができていなかった主人公古倉恵子は、30代半ばであるにもかからず独身であることやアルバイトをしていることから他人からは心配されたり、変人と思われたりと「普通」というものに苦悩し続けて辛い日々を過ごします。そんな彼女の唯一の居場所であるコンビニの中では自分がマニュアル通りにすれば変人といわれることもなく、自分が必要とされていることに安堵を感じてどんどんとコンビニ店員という立場に依存し、気づけば18年もの間バイトを続けていました。そんな中で恵子は白羽という変人のコンビニバイトに出会います。彼はバイトとしては職務怠慢そのもので、すぐにバイトをクビになりますが、彼は恵子と同棲することを提案します。この同棲で白羽は借金している親族から身を隠すことができるし、恵子は同棲している男がいるという事実だけで周囲から心配されたり、変人として見られることもなくなるこの提案はどちらにとっても願ってもないチャンスだったのです。早速同棲を始めた恵子でしたがそれを知ったコンビニ店員たちは恵子と白羽を飲みに誘ったり二人の関係をからかうようになります。無機質で自分の居場所であったコンビニが姿を変えてしまったことを知った恵子はとうとうコンビニバイトを辞めてしまいます。自分の人生そのものと言っていいコンビニバイトを辞めた恵子は次第に生きる指標を失っていき、家で食べて寝るだけの生活になっていきますが、ある日ふらっとコンビニに立ち寄った恵子は無意識のうちにコンビニ店員としての本能が働いてしまいます。自分の居場所がここにあると恵子は再確認した恵子は再びコンビニの世界に足を踏み入れるのでした。

恵子の生きざま

恵子は幼いころから他人と”ずれている”のですが、どこがずれているのかやなぜずれているのかが分からないでいました。この感覚は年を重ねるにつれて薄くなっていくと思いますがとても重要な感性だと思いました。他人と違うことを一概に嫌うのではなく、ずれを明確にしてそこから自分の考えでそれと向き合っていくことが大切だと思いました。大人になっても恵子は他人とのずれに悩みを抱えていました。30代半ばなのにコンビニ店員で独身というのは世間一般の価値観から言えば普通ではないですが、結婚に意義を感じない恵子にとっては普通なのかもしれない、そんなことを考えながら読むと考えさせられることがとても多かったです。ラストシーンではコンビニ店員に戻る恵子の様子が描かれており恵子は「私は人間である以上にコンビニ店員なんです。人間としていびつでも、たとえ食べていけなくてのたれ死んでも、そのことから逃れられないんです。私の細胞全部がコンビニのために存在しているんです」と言っており、これはまさに生き様そのものの発言でした。恵子は普通の”人間”ではないかもしれませんが模範的な”コンビニ店員”なのかもしれませんね

「普通」とは何か

この小説ではとにかく「普通」とは何かということに焦点が当てられていました。恵子が”世間一般から見て”変人といえることは明らかですが、その要素が自分にはないかと問われて否定できる読者はそう多くないと思います。また、恵子はコンビニ外では変人扱いされていますが、コンビニ内では仕事熱心なマニュアル人間として何とか馴染んでおり、普通は立場や環境によって変わりやすく正解を出すことができないのがますます「普通」というものの存在をややこしくしていました。決められた枠組みの中で生活をすることが幸せとも、枠から外れた人を糾弾することが正しいともいうことはできないのです。まさに他人の常識が誰かの非常識という感じで、恵子のことを一概に変人と決めつけたり、大多数の人間を普通という枠組みの中に入っていっると断言することは不可能だと思います。私はこのように考えましたがこの作品のいいところは明確な答えが出されておらず解釈の余地が無限にあることだと思います。

まとめ

いかがでしょうか。文章量に反比例してとても内容の濃い作品だったと思います。

不通について悩んでいる方やこのブログを見て気になった方はぜひ買って自分なりの考えを作ってみてください